わたしの妊娠記録(中編)

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もらったり、自分で入手したり、安産守コレクターと化した。全部持ち歩いていた。

2016年5月末に妊娠が分かってから、2017年1月下旬に第一子を産むまでの、エッセイ的な文章をブログに綴ります。
ちなみに川上未映子の「君は赤ちゃん」を読んで(全ての妊婦と旦那さんにお勧めしたい)号泣して書き始めたので、その小説に非常に多くの影響を受けた内容であります。
前編はこちら


妊娠5ヶ月、ベトナムへ旅行

「これが最後かもしれないから海外旅行、行き先はリゾート」ということでベトナムはニャチャン、一日中調べ尽くして見つけたリゾートに、妊娠5ヶ月に入った9月中旬に行って来た
面倒なので親には言ってない。お医者さんに一応念のため聞いてみると、当然行かない方が良いと言われる。そりゃそうだ。自己責任にもほどがある。
海外で、切迫早産とか万が一のことにでもなると、医療費だけで数百万円〜数千万円のお金がかかるのも覚悟しないといけないわけで、さすがに普段は入らない海外旅行保険に入っておく。AIUの海外旅行保険なら、妊娠22週までなら万が一医療のお世話になっても保険金が出るそうなのだ。
行きも帰りもJALのプレミアムエコノミー(当日1万円のアップグレードだから、トータルすごい安い。ベトナムって安くて航空券時代は1人往復6万程度だったし)で行き、基本タクシー移動、ホテルもまあまあ良いところに泊まってるので、なんら辛いことはない。でも暑さには滅法弱いので、特にハノイではすぐにヘロヘロになった。
リゾートでは、海、プール、マッサージ、最後の子なしの自由を楽しんだ。お腹が多少でかいビキニ妊婦も誰も気にしないし、実にのんびりと、非現実を存分に楽しんだ。
しかーし。いざ帰国する日、若干腹が不調になり、それに伴ってかお腹の張り(それまで張りという感覚が良く分からなかった)を感じはじめる。
ただただ不安な状態でニャチャンからLCCでハノイ着いて、そこから成田行きに乗り換える。「腹痛、妊娠中期」でググりまくってた。
なんとなく体調良くないまま無事帰国し、翌日産婦人科で念のため様子を見てもらうも異常なし。ほぼ杞憂だったんだろうけど、やっぱり未知で初めての事ばかりは焦る。大事に至らなくて本当に良かったよ。切迫早産になったらどうしようかと本気で怖かった。これから、赤ちゃんの初めての病気とか、毎回ビビりながら乗り越えるんだろうなあ。
(でも楽しかったし行って良かった、後悔はしていない)

マタニティ服

安定期に入り、腹の膨大化がいよいよ凄まじい。もう着れるボトムスがない、家でラクに着る服がまじでない。
そんなわけで、観念してネットで買った無印のマタニティ仕様のガウチョパンツが届く。ゆったりした腹巻きつきのボトムス。早速履いてみる。
「おお...なんと楽なんだ...」
初めてのマタニティ服、さすがその名の通りだけある。妊婦の腹に最適化された素晴らしい設計だ。実際に着てみるとわかる、この、快適さが!マタニティ服の着る期間は本当に限られてるし、ダサいし、できるかぎり避けていきたかったが、そうはいかない、まだあと5か月弱も妊婦やってなきゃいけないし、腹のでかさも体重もまだまだ序の口なのである。しかし、ネットで寝ながらiPhoneで服ポチって、一日で届く世の中、便利になっだものだのう。
無印のマタニティウェアのほか、H&Mもマタニティ服充実している。H&Mの新宿店のマタニティコーナーはなかなかの品揃え。冬にかけての妊婦だったので、タイツ・レギンス・黒いスキニーパンツは無印やH&Mで揃え、トップスは既存のゆったりしたニットやワンピースで乗り切った。
下着類は全てユニクロのブラトップとウルトラシームレスパンツ。4年前の世界一周旅行の時の下着として取り揃え、その時から臨月まで、そしてこれからも、インナー類は全部ユニクロ、全部同じものでいく所存。マタニティパンツとか授乳ブラとかも買わなくて良いのだ。いつでも同じものをすぐに買い足せる安心感も最高。キャミソールタイプのブラトップはお腹冷えないし、夏は胸のあいたワンピースだってサラッと着れるの良し。ウルトラシームレスパンツもゴムじゃないので苦しくなく履き心地が良い、パンツラインが透けない、そしてすぐに乾く、薄いから荷物にならない、全てを兼ね備えている。


妊娠中期

体調も良く赤ちゃんも順調で、相対的に極めてラクで楽しい妊婦生活を送っていた。
ベトナムのリゾートに旅行行ったり、ついに人生初のマイカー買ったり、iPhone 7 Plus買ったり、茨城行ったり飛騨行ったり、飲み会ではレモンサワー焼酎抜き(つまりただのレモンソーダ)を飲んだり。仕事も遊びも今まで通りには行かないなりに、物欲と食欲をお金でカバーしてる感。

女の子であることも9月頭に判明し、名前も早々に定着してしまった。 性別がわかった時点ですぐさまアマゾンで女の子の名前辞典を買って、ベトナムに持って行って、夫とパラパラめくりながら、あれもこれも微妙な中、ピンときた名前がひとつだけあった、そんな由来。

これといったトラブルもなく、極めて健康。
胎動も最初はピクピク(?)程度だったのが、次第にポコポコし出す。他の人に比べると胎動も激しくない気がして、痛いとか全然ない。大人しくってよく寝る子なのかな。それだったら手がかからなそうで良いな。
腹の膨張度合いも加速度的で、先週着れたと思ってたはずの服が着れなくなったり、鏡で見る度に、明らかに面白いほど腹が大きくなってきている。
もう産まれそうなくらいでかいねと言われたりするけれど、私もそう思う。お腹、ずいぶんでかいと思う。このままあと3ヶ月も育て続けるとか、最後どうなってしまうのか...。(思い返せばこの頃のお腹は臨月に比べれば序の口も良いところだったぜ)
食欲もかなり増してきた。特に甘いもの、炭水化物への渇望。糖分を体が求めているのだね。
ついにFacebookにご報告したけど、500件以上のいいねがついた。

妊婦だからってあれもこれもダメなんて思わない

あれは食べてはダメ、これをしてはダメ。妊婦における制限事項は山ほどあるけれど、日本における妊婦生活情報におけるリスクヘッジの多さたるや、辟易する。
あらゆる情報は「基本は○○しても問題ないと言われていますが、100%安全とは限らないので、心配ならやめておきましょう」というスタンス。
例えば妊婦が温泉に入れない科学的根拠はないけれど、のぼせて体調崩されたり、滑って転ばれたりしても責任はとれません、だから妊婦は温泉お断り、みたいな感じだ。
自分の体の問題だけではなくなり、新しい命に関わる全く経験のない未知の領域だから、安全が保証されないことはすべきでないとだいたいの妊婦は思う。子供を守らねばという母性が働き、さまざまな外的要因に過敏になる。それが本当に大丈夫か大丈夫じゃないのか判断できないから、とりあえず辞めておこうとなる。
でも妊婦だからって、なんでもかんでも制限される筋合いは無いと思う。もちろん「大丈夫」な範囲の個人差はある。夜更かししたって、コーヒー一杯くらい飲んだって、飲み会で一杯くらいお酒飲んだって、お刺身食べたって、安定期に海外旅行に行ったって、車の運転の練習したって、自転車に乗ったって、健診に行くたびに申告する体重を適当にごまかした(おい)って、私は大丈夫だと思ってるからそうした。それでなんかあったら自己責任。
私に関しては、それでまったく問題はなく、赤ちゃんはきわめて順調に育ってるし母体も相対的に極めて健康だ。
日本には海外ほど自己責任文化がないため、なんかあったらその情報や商品やサービスを提供した企業の責任となりやすい。なぜか日本の消費者はそこに過敏になりやすい。だから企業はリスクヘッジをしないといけなくなる。
正月に餅を喉に詰まらせて死ぬ老人が毎年発生するのに餅は禁止にならず、マンナンライフの蒟蒻畑は発売停止に追い込まれるみたいな。
だから日本は次第に世界に置いてけぼりにされて、イノベーションが起きないんだよ...と意識の高い愚痴はさておき、なんでもかんでも過敏にならなくても大丈夫だと思う。けど「大丈夫の価値観は人それぞれ」でございます。(はい、リスクヘッジ)


男の人はずるい

男女雇用機会均等とか、女性が輝く社会とやらはどれだけ実現してるか知らないが、少なくても私は性差なく働ける環境に恵まれている。
妊娠するまで、女性であることのコンプレックスなんて感じたことなかった。むしろ得だと思ってたし、産休入るまでかなり元気に動けて働けて、相当やりたいことやっていた方だと思う。
それでも仕事から少しずつ距離をとらないといけない寂しさ、飲み会やパーティーに誘われなくてお酒を飲めないコンプレックス、体力無くて動き回れないストレスが常につきまとう。
Facebookをみれば楽しそうな飲み会写真をアップするロートル達に嫉妬し、仕事に心身打ち込むことが叶わない自分に苛立ち、そんなんだから、仕事に対するマインドセットも保守的になってくる。
妊娠期間は「自分が主役の人生物語」から降りる準備期間なのだろうけど、まだ受け入れられない。

男の人は良いよなあ。
射精するだけで赤ちゃん産んでもらえるんだもん。
思春期に入る頃から初潮が訪れ、毎月毎月律儀に股から血を流し、痛みや不安定な情緒に耐えるあの忌々しい生理だって、子供を産み育てるための、女性の体に与えられた機能のうちのひとつに過ぎないのだ。
そして妊娠したらしたで、つわり、だんだん膨れて重くなる腹、でかくなる尻、痛くなる腰、情緒不安定、妊娠線を恐れて毎日オイルを塗りたくり、外出すれば階段を見るたびに絶望し、そしてそして、激痛の末に赤子を産み落とし、出産の回復もろくにしないまま、24時間怒濤の赤子の世話が始まるのだ。授乳してオムツ替えするマシーンになり果てるというではないか。
友達には「今の3ヶ月が夢のフリータイム期間だよ、楽しんで!」なーんて言われ、今まで通りの生活を送れないコンプレックスなんか屁みたいなもんなのだ、と自分に言い聞かせても、やはり面白くない。

そもそも筋力や体力が女性より勝る男性が「働く」上で優位に立てるのは、たぶん戦前まで、もしくは昭和末期のバブルまで。
現代の日本では知能労働が主になる昨今、体力仕事は労働賃金が安い国やロボットが肩代わりし、酒飲んで上司おだててなんぼな昭和的な男性的な飲み二ケーションだってずいぶんなくなってきた。
つまり、ホワイトカラーでいる以上、働く能力における純然たる男女差はもう無いはずなのだ。
でも女性には男性には無い機能、子供を孕んで産んで母乳出す能力が備わってる。こればかりは、どの男もロボットもAIも肩代わり出来ない、女性だけの唯一無二の機能。(肩代わりという意味だと、究極的には精子バンクから体外受精した卵子で代理母に産ませて、ベビーシッターに育てさせるということも可能だけど)
この機能があるばかりに、女性は子供を産み育てるために一度は社会から身を引き、次世代を担う子供達を育てる任務を半ば強制的に全うしないといけないのだ。
それでも今の時代は昔に比べればずいぶん恵まれている。保育園問題とかいろいろあるけれど、課長島耕作の時代は、女性は寿退社して家庭に入って子供を育て夫を支えるのが当たり前の世界が描かれている。

でもやっぱり男の人はずるい。
射精するだけで可愛い我が子を手に入れることができ、ちょっと家事育児を手伝っただけでイクメン扱いされる。
働く能力も十分にあり、子供を産む機能も持ってる女性の多機能さというか、、、負担の大きさたるや!
私だって思いっきり働きたいし遊びたいし子供も欲しい。
社会が急激に変容して過渡期にある現代。性差と社会的役割が多様化している。
そこで言うと女性差別もすごいけど、その分女性が守られるイスラム世界はある意味合理的なんだろうな。なりたいとは思わないけど。


妊婦でいることは良いこともたくさんある

このエッセイ自体が自分がネガティブなモードの時のはけ口として書かれている側面もあり、恨み節がところどころににじみ出ているのだけれど、妊娠期間中、常に鬱々としていたわけでは断じてない。
自然に妊娠してお腹の中で順調に育ててることを誇りに思うし、どんどん膨張する腹に恐れおののきながらも、我が子が元気に成長している証を喜ばしく思う。胎動がどんどん感じられるようになり、ますます愛しいし早く会いたい。
ブロガーの集まりとか、大勢の人が集まるような場で妊婦姿で現れると、みんなに「おめでとう」と言ってもらえて、ちやほやしてもらえるのは今だけのプライスレス。こういう場でお酒飲めないのもずいぶんと慣れてきた。ノンアルコールビールでもジュースでも充分に楽しい(でもビールをごくごく飲んで、美味しいワインに舌鼓を打つ日を心待ちにはしている)。
「妊婦さんがいるだけで幸せな気持ちになる」とか言ってもらえると、今だけの自分の特別な個性というか存在意義が感じられて、私も幸せな気持ちになる。今だけの、妊婦というステータス(しかも初産はなおさらな気がする)は、強烈な個性なのだから、存分に楽しまないともったいない。


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