病室から、新宿方面の眺め
2017年1月、東京女子医科大学の無痛分娩にて女子を出産したときの記録です。
東京女子医科大学での無痛分娩は、人工的に陣痛を誘発しての計画出産になります。
産科麻酔ができる医師の都合のスケジュールに合わせて、週に2回(水曜日と金曜日とか)、無痛分娩実施日みたいのがあって、実際の出産予定日の1週間前くらいに産む日を決めます。(妊娠4ヶ月目くらいの時の診察に娘の誕生日は決定され、そして計画通りその日に出産できました)
いつ来るかわからない陣痛に怯えることも耐えることも無く、計画的に、麻酔が効いた状態で安全にコントロールされた中で出産できる...という、どちらかというと合理主義な自分にとってはとても都合の良いお産となりました。
無痛分娩に興味がある方など、何かの参考になれば幸いです。
お産当日、iPhoneにメモをとってたものをベースに書いてたりするので、淡々としています。(逆に、メモとれるだけの余裕があったということ!)
入院1日目(分娩前日)
13時に入院。
検温、血圧、採尿、採血、NST検査などなど、点滴のラインをとられ(痛い)行い、子宮口を広げるためのダイラパンという海藻の綿棒みたいなのを10本入れられ(痛い)、18時には晩ご飯。思ってたより美味しい、けど、早々にふりかけを夫に買ってきてもらうよう要望する。ときどき陣痛のような下腹部の痛みがある。
ベッドがいつもと違ったり、下腹部痛だったり、4:30位に空いてた隣のベッドに誰か入院したりで、かなり寝れなかった。
入院2日目(分娩当日)
6:00
検温、血圧、心音確認、浣腸。
排便、着替え。
7:00
陣痛室に移動。モニター装着。水分補給の点滴開始。
8:00
診察。ダイパラン抜く。子宮口4cm、オキシトシン(陣痛促進剤)、抗生剤点滴開始。
8:45
麻酔のために分娩室に移動。
他の妊婦さんが産まれそうだったので、分娩台上がった瞬間、すぐに追い出される。助産師さんたち、バタバタする。大声で苦しむ阿鼻叫喚の妊婦さん、さっき私が一瞬いた分娩室に運ばれ、20分くらいで産声を上げる。
痛そうで怖ぇぇ。無痛で良かったぁぁ。でも安産のようで何より!
9:30-10:00
陣痛室でベッドに座った状態で麻酔の処置。硬膜外麻酔、カテーテル装着、思ってたほど痛くない。シャーペンをノックするみたいなやつで自分でカチッと一押しすると麻酔が注入される。自分でいたいと思ったら躊躇すること無く押しちゃって良いとのこと。でも「押し過ぎちゃっても負け」みたいな気持ちになり、中々自分で押せない変なジレンマ。お腹の張りの痛みなくなる。眠くなる。
12:00
診察。子宮口4cmで進まず。人工破膜の処置(たぶんはさみで切ってた)。破水して、血混じりの液体どろっと出てくる。
じきに、わかりやすく陣痛的な痛みを感じ始める。痛みを伴いながらモリモリモリと子宮が膨らむ感じ。これ、麻酔無いとめっちゃ痛いのでは。麻酔ありの状態で、生理痛の20倍痛い感じ。
12:45
触診。まだ4cmだけど「いい感じ」で進んでるらしい。かなりの頻度でモリモリモリな陣痛きてるの分かる。これ、麻酔してなかったらどんだけ痛いんだろう。測ってみると、2分おきに30秒の陣痛くる。結構痛いもんだ。い麻酔追加どれだけしていいんだろ。産科医も助産師さんも麻酔の先生も定期的に様子見に来てくれるから心強い。
14:00
診察。子宮口7-8cmまできてて、すごく「順調」とのこと。破膜がてきめんに効いたようだ。
まもなくして分娩室に移動。
モリモリモリな陣痛も継続中、でも麻酔のパワーでかなり鈍らせてもらってる感じがよーくわかる。
15:00前後
助産師さん「じゃあいきましょうか」
お産開始。えっもう産めるの?思ったより早く来たお産。
いきむタイミングを教えてもらう。麻酔のおかげですごく冷静になれるけど、ちゃんと産めるか、元気な子が出てくるか、そしてついに我が子に会えるかと思うと、不安と緊張で涙がでてくる。夫もしっかりついてくれている。
陣痛の間隔と合わせ、助産師さんの指示と合わせ、イキむ。赤ちゃんは順調に出ようとしてるらしい。
「いい感じ」「順調」「上手」。励まされる。
15:30
「次でここで産みましょう」
よし。
ぐーっと麻酔がかかった両足と股に力を入れて押し出す。先生によると、赤ちゃんから自分で出ようとしてたそう。でる前から「オギャ」と声が出てた。
そしてきれいに赤ちゃんを取り上げてもらった。
「オギャー!」
元気な産声。一瞬の出来事だった。本当は「3キロのうんこを一気に放出する開放感」を期待してたんだけど、必死にいきむのと、麻酔と興奮ととにかくそれどころじゃなかった。
生まれたての目の前で赤ちゃんみせてもらった。
ああ、可愛い!もう愛しくて可愛くて、嬉しくて!嬉しくて!良く出てきたね!頑張ったね!こんにちは!
そして健康そうで良かった!
破膜からの陣痛開始から4時間弱、なかなかのスピード出産だったと言える。
こんなに都合の良いお産は無かった。処置してくれた産科医の先生、取り上げてくれた助産師さん、麻酔科医の先生、どうもありがとう。
想像以上にスムーズで、本来なら、早くて夕方、だいたい夜に産まれるケースが多いそう。
会陰切開された傷の処置などを行い、陣痛室で2時間ほど体を休めて、赤ちゃんと過ごして、車いすで病室に帰る。部屋でちょっとだけおっぱい吸ってもらう。赤ちゃんはナースステーション預かり。出産ハイでその晩、メールをしたりして寝る。
入院3日目(生後1日目)
産後生活スタート。会陰切開の傷と恥骨痛と、股が痛くてたまらん。ベッドから起き上がるにも10分くらいかかる。寝返り打つのも10分くらいかかる。トイレに行くにもよたよたロボットのような動き。朝ご飯の後に赤ちゃんが運ばれ、おっぱいは当然でないので、糖水で水分補給。ほ乳瓶からごくごく飲む。土曜日なので両家の家族大集合。
就寝時はナースステーションに預けることにした。
ここは24時間、担当助産師/看護師さんたちが8時間3交代で代わっていく。
大きな病院だからしょうがないのだけれど、看護師さんによって言うことが多少変わるので、当たり外れはあるわけですね。
部屋は2人部屋で相部屋。正直めっちゃストレス。
入院4日目(生後2日目)
朝に赤ちゃん部屋に運ばれてくる。泣き止まない...。糖水で水分補給させてもぐずる。午後、ミノルタ(黄疸)チェックで引っかかり、あれよあれよという間に娘はGCU預かりになってしまった。突然我が子を引き離された悲しさはかなりこたえた。夕方、新生児科の先生に赤ちゃんの症状や入院について説明を受ける。入院してる病棟の階下に新生児科とGCUがあり、そこで娘は光線治療を受けていた。産まれて間もないのに裸ん坊にされて目にマスクをかけられて、ピンクのビニールの中で青い光を浴びてる姿はすごく可哀想に見えてしまう。この状態で24時間治療を受けるのだそう。
夜、搾乳の仕方を教えてもらう。電動搾乳機という文明の利器を知る。これが使えるうちに乳管開通させよう。
入院5日目(生後3日)
3時間おきにGCUに行って娘のおむつ変えて、授乳トレーニングして、ミルクあげて、戻って搾乳する、というサイクル。1時間でだいたい1クール、2時間の間にシャワー行ったりご飯いったり、その他諸々の用を済ますので、忙しいっちゃ忙しいけど、ラクといえばラク。
真夜中も搾乳した方が良いと言われたので搾乳。深夜2時とかに病室で、搾乳機で出ない乳を搾るの、すごくむなしい、このむなしい作業のためだけに夜中起きるの辛いけど、他の母子同室のお母さんに比べたら寝れてると思う...。
病院食はこんな感じ。美味しくもなければギリギリまずくない。
入院5日目(生後4日)
3時間おきにGCUに娘に会いに行くのが唯一の楽しみ。
おむつを変えて、白い服を着せて、授乳トレーニング。体重量って何ml飲んだか確認して、ミルクを飲ませる。ミルクはごっくんごっくんよく飲んでくれる。
この日、ついに個室が空いて移動できた。幸せ。TVも見放題だし冷蔵庫もあるし、トイレも部屋にある。こんなことで幸せになれるくらいには病院生活辛いよね。
1人で病院内のタリーズ行ってみたりして、開放感。股は相変わらず痛い。母乳の出は相変わらず微妙。
入院6日目(生後5日)
1人部屋は快適。明日、黄疸の値が良くなって、一緒に退院できるかどうか、それだけが気がかり。GCU通いも慣れてきた。
夕方に黄疸の値が下がったと言うことで、急に娘が部屋に帰ってきた!嬉しい!だっこし放題!
と喜ぶのだけれど、夜中ぐずるのは辛いのだった。文字通り産まれて初めて、一緒に過ごす夜。母乳は満足にあげられないので、痛い股ひきづって、ナースステーションまでミルクとりにいく。暖房の入れ方わからず、部屋はすごく寒かった。
この日のお昼ご飯はお祝い膳!
入院7日目、退院(生後6日)
退院の日。黄疸の値が良ければ、一緒に退院できる、そして一緒に退院できることがわかって本当に嬉しかった。母乳マッサージしてもらったり、沐浴指導してもらったり、新生児科の先生に説明してもらったり、退院手続きしたりして、お昼に一緒に退院しました!
病院生活は当然だけど、快適でもなければ楽しくもない!
費用
無痛分娩(+15万円)と、個室2泊(1泊25000円)が追加されて、90万ちょっと。東京の大病院はお高いデス。
病棟は超昭和、病院食は決しておいしいわけでもない、サービス旺盛なわけでもない。でも計画無痛分娩が上手くいったこと、看護師さんたちが親切だったこと、何かあればすぐに対応可能な施設が整っている、ということを鑑みれば、納得しています。
病棟の設備など
パラマウントベッド完備、TV各ベットについてるけれど、ビデオカード買う必要あり。
お産セット(産褥ショーツ、産褥パッド一式、赤ちゃんのおくるみや服一式などはもらえる)。シャワーは1人30分の枠で予約制。トイレも別。(個室にはある)
昭和な雰囲気の病室で辛気くさい。面会用のデイルームも4人がけのテーブル×2、ソファで、あまり広くはない。
部屋の差額がない7人の相部屋は、切迫早産で入院されてる妊婦さんで埋まっているようなので、出産入院の人はほぼ入院できなそう。(切迫早産の妊婦さんの相部屋に、赤ちゃんとの母子同室も気まずそうだし)
2人部屋の差額は1泊1万。運が良いと2人部屋を1人で使えてパラダイス。(でも私には他人との相部屋は耐えられなかった...)個室はTV見放題、冷蔵庫あり、洗面台、トイレあり。
医師や看護師の対応など
外来で健診してくれた主治医の先生は分娩時も入院時も一切会いませんでした(笑)
その日勤務シフトに入っている産科医、助産師さんで担当が決まって常時対応される感じです。なので「担当医師・助産師さんに一貫して診てもらいたい」人は、大病院である女子医大は向いてないかも。(ハイリスク妊婦さんはまた別対応だと思うけれど)分娩時も入院時も毎回違う人が担当にあてがわれるのだけれど、それぞれ皆きちんと対応してくれて、問題も感じてないので、私的には問題なかった。あと研修医がちょろちょろいる。基本はシステマチック。
女子医大は基本母子同室、母乳育児推奨ではありますが、母乳育児を押しつけるわけでもなく、柔軟に対応してくれます。でもこちらから要望を言わないと対応してくれないこともある(当たり前)なので、「夜は預かって欲しい」「ミルク足したい」「授乳手伝って欲しい」「痛み止め欲しい」「朝ご飯の牛乳嫌いだから出さないで欲しい」「おっぱいマッサージして欲しい」「夫に沐浴指導して欲しい」「相部屋ストレス過ぎてつらいです」などなど、要望あれば遠慮せずに言うと、ちゃんと対応してくれました。
また退院後も、母乳外来(30分3000円)があって、これが心強い。助産師暦30年のベテラン助産師さんが、30分でできる限りの対応をしてくれて、これが「神ってる」。現在週1で絶賛通い中です。
有名な産科医のマンガ「コウノドリ」読んでおくと、大きな病院での産科の仕組みや妊娠・出産のことがよくわかるので、2-3回読んでおくことをおすすめしたい。