世界中で感じた日本人不在の日本食ブーム

世界の大都市を巡ってると、どの都市にも「Japanese restaurant」がある。

海外ではものすごい日本食流行ってて、SUSHI とか、TENPURA とか、TERIYAKI とか、必ずある。
イギリス人とか、Japanese Food は とっても Healthy だと信じてる。
1年半前にロシアのサンクトペテルブルクに行ったときも、寿司は大ブームで、焼いたサーモン寿司とか、カッテージチーズ巻とか、独特の食べ物に進化しているようだった。

比較的気軽に入れてそこそこ高い店でも、大体美味しくはないけど、食べられないほど不味くもない。(高級店は行ってないので知らない)
出てくる料理は、現地素材を取り入れて現地の人にも受け入れられそうな料理なんだけど、「もう少しこうしたら美味しくなるのに」と思うことがあり過ぎる。

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ブラジルのリオデジャネイロで食べた YAKISOBA(なぜかブラジルで流行ってる)は、ペヤングを3倍油っぽくしてまずくした味、YAKIMESHIは味が無かったので醤油を足したらかなり改善した。
ちょっと調味料を足せばいいのに、手順はこうしたらもっとマシになるのに。
でも店側のスタッフの中に日本人が一人もいないことが多い。

ロンドンとか日本人いっぱいいるし、めちゃくちゃ日本食流行っているのに、まともな日本食料理屋とそうでない日本食料理屋の落差がすごい。
経営はインド人、調理は中国人とか。
お客さんも、日本で日本食なんか食べた事無いような現地の人々が、美味しそうにカピカピのお寿司を食べたりしている。

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イスラエルのエルサレムのSUSHIレストランの外観はひど過ぎたし。
日本人がスタッフにいたら絶対「津波」とか掲げないだろう。これは憤りを覚えるレベル。(もちろんこのレストランには入ってない)

日本に近くて、食も豊かな東南アジア、例えばバンコクとかシンガポールはまだ良くて、吉野家とか結構有名なラーメン屋とか、日本のチェーン店がたくさん進出して現地でも流行ってるようだった。現地日本人の人もたくさんいて、まるで日本だった。

でも日本から遠い、もともと食が貧しそうなブラジルとか、ロシアとか、イギリスあたりの日本食レストランが多分ひどい。

一方、Chinese restaurant は世界のいたる所にあって、そこは絶対に譲らんのだとばかりに必ず中国人がやっている。
ペルーの、標高が高くて住民はほとんど現地人のプーノの街にだって中華料理は何店舗かあり、どこから手に入れているか知らないが、ちゃんと中国の食材や調味料でそこそこの中華料理を安価に提供していた。

世界の日本料理屋は、ほとんど現地人が運営、そして高い、そこそこ不味い。
世界の中華料理屋は、絶対中国人が運営、そして安い、そこそこ美味しい。

なんでしょう、この差は。
世界各国で日本人不在の日本食ブームを目の当たりにしては、悲しい気持ちになったのでした。

でも、なんでだろう? 
日本食の調理法がちゃんと伝わってないのが原因かもしれないし、日本食に必要な調味料や食材が出回ってないのが原因かもしれないし、日本人が頑張って海外に出て行かないのが原因かもしれない。

気になってググったらこんなの見つけた。
経済産業省「産業構造ビジョン2010抜粋 「文化産業立国」とかいうPDF資料

3年前の民主党時代のものだけど、結構面白いことが書いてあった。
抜粋すると、

「食」についても、世界的な日本食ブームで、日本食レストランも急増しているが、大半は日本人以外の経営によるものであり、外食サービスの国際展開はごく限られた例外を除き、進んでいない。


そうそう。そうなのよ。
で、それに対する戦略として、

(ウ) 日本食 -日本の食を世界の食卓へ(「次の日本食」浸透戦略)

世界的な日本食ブームの中で、日本食は更に世界に広げていく余地が大きい。また、日本の食文化が世界に広まることを通じて、日本への興味を惹き起こし、観光客の増加などインバウンドの面でも波及効果が期待できる。

日本の食を世界の食卓へ広げていくため、マーケティングの強化、市場参入、クロスメディア戦略・人材育成などの各分野で、以下のような取組を進める。

ⅰ)すし、天ぷらなどに続く「次の日本食」メニューの発掘や現地の味覚に合った一般家庭向けレシピの研究やテストマーケティングを実施する。
ⅱ)外食・小売業の海外進出支援(出店可能性調査、資金支援など)

資料16 産業構造ビジョン2010抜粋 「文化産業立国」30

ⅲ)日本のライフスタイルや和食器、調理器具とセットでの日本食の売込みや外国人向けアグリツーリズムの提案、日本食の研修カリキュラムの開発(J-cuisine 講座の開設)

を含む日本食に係る人材育成・教育制度のあり方の検討

とか。
ほうほう。いいじゃないか。

でも今年の経産省の予算概算要求のPDF見てみたら、日本食普及のためらしき予算は、

○国際博覧会出展事業委託費 7.6億円(9.5億円)

「食」が主要テーマのミラノ国際博覧会において、日本食及び食関連産業を日本ブランドとして国際社会へ広く発信する事業を委託。


これだけ!
しかも7.6億も出展に必要なんだね。
いろいろ懸念してるわりには全然やる気ないのかな...。
いや、私は適当に調べただけなので、他にもいろんな取り組みをされているとは思いますが。

「現地の味覚に合った一般家庭向けレシピ」とかもっと開発して普及したらいいのに。クックパッドあたりにやってほしい。

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ブラジルのリオデジャネイロで、アパートに住まわせてもらった時にしばらく自炊してたけど、スーパーでは醤油くらいしか調味料が買えなかったからせいぜいハム卵ガーリックチャーハンくらいしか思いつかなかったよ。あとマカロニサラダとか。

ところで、さっきの経産省のPDFに面白い表があった。
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へー、なるほど。参考になる!(なんの?)

優秀な官僚の方がまとめたのだろうか。
こんなに良くまとめてあるんだから、実行するのも頑張ってほしいなあと思った次第です。

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この記事について

このページは、mayumineが2013年4月26日 17:48に書いた記事です。

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