「Facebook 若き天才の野望」は、Facebookの創始者、マーク・ザッカーバーグが、ハーバード大学の寮からFacebookを創り上げ瞬く間にユーザーが増えまくり、次々にベンチャーキャピタルが食いつき、Facebookの時価総額は8億ドル、10億ドル、20億ドル、150億ドル…となっていく話を、525ページにわたって描かれた実話ドキュメンタリー。
映画の「ソーシャルネットワーク」のマーク・ザッカーバーグのイメージは、非モテで非コミュでキモオタの変わった天才みたいな人物像だったのに、実際に描かれているザッカーバーグは全然違うじゃないの!
訳者あとがきにまとめられてた、本書の概要は、
「中国、インド、フェイスブック」という表現がある。中国の人口が13億人、インドが12億人、フェイスブックのユーザーは5億人を超えて6億人に近付いている。もしフェイスブクが国ならば、人口で世界3位の大国となる。
26歳の青年が、世界の主要国のほぼすべて(中国、ブラジル、日本だけが例外)を征服したことになる。現在でもまだ26歳という史上最年少のビリオネアはいったいどんな人物なのか?そしてフェイスブックはなぜこのように前例のない規模にまで成長できたのか?それに徹底的に答えたのが本書だ。
この本はお風呂で歯を磨きながらiPad版で読んでいたので、読了するのにえらく時間がかかりましたが、それでも読みきったぜ!(読みきったのはゴールデンウィーク前だけど)
書評を書くのは苦手なので、なんとなく気に入って蛍光ペン塗ってた「名言」を抜粋していきます。
こういうことができる電子書籍って結構便利だなあと思いました。
ザッカーバーグのFacebookの実名ポリシーをうかがわせるセリフ。(第10章)
「仕事上の友達や同僚と、それ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代はもうすぐ終わる」
「2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの見本だ」
「自分が誰であるかを隠すこと無く、どの友達に対しても一貫性をもって行動すれば、健全な社会づくりに貢献できる。もっとオープンな透明な世界では、健全な社会づくりに貢献できる」
「でも、できると思う。ただ、時間はかかる。多くの事を共有するほうが世界がよくなるという考え方は、多くの人にとってかなり異質なもので、あらゆるプライバシー問題にぶつかる。」
このザッカーバーグの揺らぎない信念が、Facebookという帝国を築き上げた所以なんだろうと思います。Facebookの入国ルールですな。
翻訳するというプロジェクトを社内や外注で実施して大量のリソースを消費する代わりに、フェイスブックはクラウド翻訳という新方式を利用して大成功を収めた。
それぞれの新しい言語のバージョンをつくるために、まず、フェイスブックのソフトウェアがユーザーに向けて翻訳すべき単語のリストを提示する。
ひとつの単語が多くのユーザーによって翻訳される。次にソフトウェアがその言語の話者に、一番適した単語や熟語に投票するよう依頼して穴を埋めていく。
なるほど、恐ろしく効率が良い。でもFaceookの規模だからこそ出来たのかもなあ。
では、いかにフェイスブックがすごいか、お金で見てみると、
(あとがき)株式を公開していないので、あくまで相対取引での評価だが、会社の時価総額は350億ドル(3兆円)とも500億ドル(4兆2000億円)とも言われている。
しかも、これは半年以上前に言われていた話。
フェイスブックは2012年には上場するとか言われていますが、実際どうなんでしょうね。
「金は要らないんだ。どっちにしても、これから一生かけても、フェイスブックみたいな良いアイデアは二度と思いつけない」
という。
「金では動かない」と口で言うのはたやすいが、数億円のキャッシュを目の前につきつけられても平然と自分の理想を追うところが人間ばなれしている。
ザッカーバーグ△。ほんとにそのとおり。
余談ですが、シリコンバレーでスーパー成功している実話ドキュメンタリーを読みつつ、併せて「闇金ウシジマ君」とか、「苦役列車」(小説)とか、「黒沢」(漫画)とか、まあ、後は「人間失格」とか、まったく正反対でクズ人間を描いたようなコンテンツを浴びてみると、なんか両極端な人生を疑似体験した気持ちになって、不思議なトリップができます。おすすめです。
日経BP社
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