ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)
現場からのネット敗北宣言

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)
中川淳一郎
光文社
売り上げランキング: 132
おすすめ度の平均: 4.5
5 ネットとの「距離の置き方」。
5 当たり前
5 皆がどこかで思っていたこと…
3 技術を知らないマスコミの悲しさ
3 あえてバカに(笑)

ネットの「キモイ」部分だけを、順序良く取り上げ、痛快な文章でサラサラ読める良書。すごく読みやすかった。
でも本当にネットのキモイ部分だけをクローズアップしているので、ネットで食わしてもらっている身としては、「そうそう、そのとおり!」と思える部分も多い中、「そこまで言わなくてもいいじゃん・・」と、ところどころ暗い気持ちになったりもします。

あまり「書評」的なものは得意では無いので、「書評」はせず、「目次」と目に留まったセンテンスを紹介します。

(久しぶりに文字ばっかでなんか書くのが大変なエントリーになりました)



はじめに

バカを無視する「ネット万能論」
ーそもそもネットの世界は気持ち悪すぎる。
そこで他人を貶める発言ばかりする人も気持ち悪いし、 ネットの可能性を嬉々として説く人も気持ち悪いし、品行方正で結うと失せ雨滴な書き込みしかしない人も気持ち悪いし、アイドルの他愛もないブログが無害な 「絶賛キャーキャーコメント」で埋まるのも気持ち悪いし、ネット以外のモノの価値を一切認めない人も気持ち悪い。

第一章
ネットのヘビーユーザーはやっぱり暇人

・品行方正で起こりっぽいネット住民
リアルな場での「口論」や「怒声」、「注意」を見る事は滅多にないが、ネットでは人を咎めたり悪口を書いたり罵声を浴びせる人だらけである

・ネット界のセレブ「オナホ王子」

・「怒りの代理人」がウヨウヨ、要はいじめたいだけ

・読解力がなく、ジョークも通じない人々

・「被害者がいるならここに連れてこい」

・クレームという名の粗探し

・「誰が言うか」はかなり重要

・ネットで叩かれやすい10項目

  1. 上からものを言う、主張が見える
  2. 頑張っている人をおちょくる、特定個人をバカにする
  3. 既存マスコミが過熱報道していることに便乗する
  4. 書き手の「顔」が見える
  5. 反日的な発言をする
  6. 誰かの手間をかけることをやる
  7. 社会的コンセンサスなしに叩く
  8. 強い調子の言葉を使う
  9. 誰かが好きなものを批判・酷評する
  10. 部外者が勝手に何かを言う

・暇人にとって最高の遊び場がインターネット

・1億2000万パケットを自慢する暇人

・ブログ、SNSの内容は「一般人のどうでもいい日常」

・さんまやSMAPは、たぶんブログをやらない

・暇人はせっせと情報をアップし、リア充はその情報の換金化にはげむ
リアルな世界で忙しい人たちも当然ネットを使いこなすが、それはあくまで情報収集のためである。暇つぶしではなく、明確な目的があるのだ。

第2章
現場で学んだ「ネットユーザーとのつきあい方」

・もしもナンシー関がブログをやっていたら

・「堂本剛にお詫びしてください」

・芸能人を中傷して18人が摘発!?

・ネットはもっとも発言に自由度のない場所
ネットニュースの編集者は正直きつい仕事である。制作費は雑誌より少ないにも関わらずリスクは高いからだ。
雑誌は買われない限りは見つからないし、次の号が出れば市場からは消え、その話題は無かったことにされる。関係者から見つかり、クレームを受ける可能性がより高いのはネットだと思っておいたほうがいい。

・「ネットで消費者の声を聞け」は大ウソ
ネットによって、本来出会わなかったであろう人と人が交流できるようになったのは良いことだ!などとよく言われるが、おそらく、本来出会うはずのなかった人々が交流するようになったことで、摩擦のほうがより生まれたのではないだろうか。

・「Web2.0」とかいうものを諦めた瞬間

・「オーマイニュース」惨敗の裏側

・結局、B級ネタがクリックされる
ネットでウケるネタは以下のものである

  1. 話題にしたい部分があるもの、突っ込みどころがあるもの
  2. 身近であるもの(含む、B級感があるもの)
  3. 非常に意見が鋭いもの
  4. テレビで一度紹介されているもの、テレビで人気があるもの、ヤフートピックスが選ぶもの
  5. モラルを問うもの
  6. 芸能人関係のもの
  7. エロ
  8. 美人
  9. 時事性があるもの

・素人に価値のある文章は書けない

・ネットの声に頼るとロクなことにならない
暇人が悪ふざけできる材料を日々探していて、「みんなの意見」を真面目に聞こうとする人々を愚弄する行為を行うのだから、正しい意見などをそこに求めないほうが賢明だろう。

第3章
ネットで流行るのは結局「テレビネタ」

・テレビの時代は本当に終わったのか?
最強メディアは地上派テレビ。彼らが最強である時代はしばらく続く

・ブログでもテレビネタは大人気

・王道は「テレビで見た→ネットで検索&書き込み」

・コピペできない雑誌・新聞はネットにさほど影響ナシ
雑誌や新聞のネタは、ネットやテレビで紹介されなければ話題にもなりづ らい。なぜなら、くり返すように、ネットに頻繁に書き込むヘビーユーザーはテレビは見ても、わざわざカネを払ってまで雑誌や新聞は買わないからだ。そし て、雑誌や新聞を買ってまで貴重な情報を得ようとする忙しい人は、そのネタをわざわざ親切にネットに書き込むようなことはしない。

・バナナ、ココア、納豆、寒天・・・結局、テレビがブームを作る

・「ネットでブーム!」なんてこんなもの
ネット関連企業ではない職種の人々で、「アサヒる」「スイーツ(笑)」「テラ豚丼」をすべてを知っている人は少ない。

・スターはテレビからしか生まれない

・ネットはさほどテレビを敵視していない
だが、テレビ局側からのネットに対する拒否反応はすさまじい。

・これからも人々は大河ドラマと紅白歌合戦を見続け、「のど自慢」に出演する

第4章
企業はネットに期待しすぎるな

・企業がネットでうまくやるための5箇条

  1. ネットとユーザーに対する性善説・幻想・過度な期待を捨てるべき
  2. ネガティブな書き込みをスルーする耐性が必要
  3. ネットではクリックされてナンボである。かたちだけ立派でも意味がない。そのために、企業にはB級なネタを発信する開き直りというか割りきりが必要
  4. ネットでブランド構築はやりづらいことを理解する
  5. ネットでブレイクする商品はあくまでモノが良いものである。小手先のネットプロモーションで何とかしようとするのではなく、本来の企業活動をがんばるべき

・ブロガーイベントに参加する人はロイヤルカスタマーか?
そんな彼らには「懸賞マニア」的な側面がある

・ブログに書く理由は「タダだから」

・ネットにむいている商品は、納豆、チロルチョコ、ガリガリ君

・「Web2.0」とか言う前に、「Web1.374」くらいを身につけるべき
Web1.374は今ここで思いついた適当な数字でしかないが、「ネットの書き込みに対する耐性をつけ、スルー力を身につけるレベル」ということである。

・バカの意見は無視してOK

・クリックされなきゃ意味がない
業界内評価の高いサイトは大抵フラッシュを使いまくっていて、見ていて疲れてしまう。
テーマはキレイすぎるし、すべてが「善」であふれている。だが、ネットでは身近で突っ込みどころがあったり、どこかエロくて、バカみたいで、安っぽい企画こそ支持を得られるのだ。

・先にバカをした企業がライバルに勝利する

・ネットプロモーションのお手本「足クサ川柳」

・ネットでブランディングはできない

第5章
ネットはあなたの人生をなにも変えない

企業は「ネットで商品が語られまくり、自社ファンが自然に増える」と考えるのはやめよう。
一般の人は「「ネットがあれば私の才能を知り、私のことを見出してくれる人が増える」と考えるのはやめよう。
一般の人は「ネットはただ単にとんでもなく便利なツールであり、暇つぶしの場である」とだけ考えることでネットと幸せなつきあい方ができるようになる。

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)
中川淳一郎
光文社
売り上げランキング: 132
おすすめ度の平均: 4.5
5 ネットとの「距離の置き方」。
5 当たり前
5 皆がどこかで思っていたこと…
3 技術を知らないマスコミの悲しさ
3 あえてバカに(笑)