こんな写真や、
こんな写真がHDR写真です。
まるでCGみたいな、または妙に写実的な絵画みたいな写真です。
このようなHDR写真がどういう仕組みで出来ているのか、そしてどうやって作成するのか、解説していこうと思います。
HDRとは、High Dynamic Rangeの略で、1枚の画像の中で白トビや黒つぶれを無くして、明るいところと暗いところを同時に階調を残して表現することができる写真の表現技法です。
暗い写真と明るい写真を別々に用意して、いいとこ取りして合成するというものです。
iPhone 4からカメラの標準機能としても備わりましたね。
HDRに向いている写真は以下のようなもの。
・動きが無い被写体(動く人が入ると写真にゴーストが出る、これは後で解説)
・朝のビル群とか、夕焼けの工場とか、明暗がある被写体
・空とか海とかのっぺりした同じ色が多い風景ではなく、ごちゃごちゃディテールがある被写体
- 三脚使って、ブレないように[明るい(+2)・暗い(-2)・普通(+-0)]の露出でブラケット撮影。画質はRAWで。(手順解説へスキップ)
- PhotomatixというHDR合成用のソフトでHDR画像生成(手順解説へスキップ)
- さらにLightroomでノイズリダクションやトリミングや明るさなど調整して現像して完成(手順解説へスキップ)
HDR撮影に必要なものは、
・オートブラケット機能があってRAW撮影できるカメラ(必須)
・三脚(必要)
・PhotomatixというHDR合成ソフト(必須、他にもHDR合成ソフトあるけどこれが一番有名、このブログ経由で15%オフで購入できます)
・Lightroomという写真管理・現像ソフト(必要、他にもいろいろあるけど、これが今の神ソフトだと思う)
それぞれにコツがありますので解説します。
1.HDR用写真を撮影する
三脚使って、ブレないように[明るい(+2)・暗い(-2)・普通(+-0)]の露出で写真を3枚、全く同じ構図でオートブラケット撮影します。画質はRAWで。
撮影する3枚の写真は、必ず全く同じ構図で明るさだけが違うように撮影します。
※ブラケット撮影時の露出の幅や写真の撮影枚数は、多ければ多いほど表現豊かな写真になります。
※でもRAWなら写真1枚でもHDR合成できちゃいます。
※JPEGなら最低3枚は必要で、+2.0 +0.0 -2.0の写真3枚は最低限必要な素材(だと思います)。カメラによっては+4.0 +2.0 +0.0 -2.0 -4.0 とか5枚オートブラケットとかできるのもあります。
Q:ブラケット撮影って?
ブラケット撮影とは、HDR画像作成において必須の、広い明暗レンジを撮影するために、シャッター速度やISO感度を変更して、複数回の露光を行うことです。2011年度版 各社カメラのHDRオートブラケット撮影能力リスト | HDR : ハイダイナミックレンジの光と影
オートブラケット機能で、これをカメラで自動撮影してくれます。オートブラケット機能はHDR写真撮影に必須の機能だと言えます。一般的に、シャッターを押している間、自動的に設定した異なる露出でシャッターが切られます。
Q:何で三脚が必要?
HDR写真は露出の異なる複数の写真を合成する事で出来上がります。
よって、3枚全く同じ構図、微動だにしない明るさだけ違う写真を撮影する必要があるのです。
手持ちで撮影すると、どうしても絶対ぶれてしまいます。特に暗い場所で撮影するときは必ずぶれます。
ただし、三脚が無いとHDR用のブラケット撮影ができないわけではありません。
RAW画像1枚でHDR写真はつくれますし、また柵の上とか、なんなら道路の上とか、カメラを固定できて構図を決めれる場所でブラケット撮影する事も可能です。
また、手持ちで極力動かないように撮影するのも意外にイケます。後述するHDR合成ソフトがPhotomatixが後から結構補正してくれちゃうのです。
実際、私の世界一周の旅の後半は三脚持ち歩くのがダルくなったので手持ちで極力動かないで撮影してました。
Q:RAWで撮影する必要ってある?
あります。
RAWで撮影しておくと、後からの補正で笑っちゃうくらいHDR写真のクオリティが変わります。
色情報や露出情報などが豊富なRAWデータは画質を劣化させることなく繰り返し補正できるのです。
RAWで撮影しておけば、後にどのような良いことがあるかは追って説明します。
でも、JPGでもHDR合成を充分楽しめます。
カメラはデジタル一眼じゃないとだめ?
そんなことありません。
コンデジ、ミラーレスでも撮影可能な機種がたくさんあります。
レンズの表現の幅やカメラ本体の機能を考えればもちろんデジタル一眼レフカメラが良いに決まっていて、高級であればあるほど、レンズもいろいろあった方が良いに決まっていますが、それを言い出すとキリがありません。
カメラ別のオートブラケット機能の性能比較表がPhotomatixの会社のサイトにまとまってました。これを見ればどのカメラでHDRの素材に必要なオートブラケット撮影が可能か一目瞭然です。参考にどうぞ!
Auto Exposure Bracketing by camera model
最低限必要な機能は、カメラに以下の機能があるかどうかです。
・露出が変えられるか(最低限機能)
・オートブラケット機能があるか(かなり推奨機能)
・RAWで撮影出来るか(かなり推奨機能)
またカメラそのものにHDR機能がついているものもあります(そう、例えばiPhoneみたいに)。とても気軽にHDRを楽しむ事ができますが、全部カメラ側で自動で加工してしまうので、後から自分の思い通りに写真を創り上げることができません。
ちなみに私の場合の機材は、- カメラ:ソニーα7
- レンズ(広角):
- レンズ(ズーム)
- レンズ(単焦点)
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2. PhotomatixというHDR合成用のソフトでHDR画像生成
HDR写真作成において、一番有名で高機能なHDR写真作成ソフトウェアPhotomatix。有料ソフトで8500円です。写真に「透かし」が入る以外は有料版と同等の機能が利用できる無料版もあります。
ざっくり流れを説明していきます。
(スクリーンショットは英語版ですが、Photomatix日本語版もあります)
ブラケット撮影した画像ファイルを3枚読み込みます。(1枚でも2枚でも読み込めます)
・イメージのズレを調整する
・ゴーストを減らす
・ノイズを減らす
などの設定が読み込み時に可能です。基本、全部チェックしておけば良いと思います。
これで多少ブレた写真も結構ピタッと修正されるし、ノイズもそこそことれます。
被写体の動きが原因でゴーストになってしまったモノ(大体は動く人)を丸で囲って除去出来ます。
「あー動いている人入っちゃったよ...」という写真もこれで結構対応できる。すごい。
あとはいろいろ設定変えて好みのHDRイメージを作っていきますよ。
右側のプリセットのHDR合成イメージから気に入った画を選び、左側のツールで明るさや強さを調整していきます。
これが一番楽しい作業!実際に触ってみるとその楽しさがわかると思います。
イメージが出来上がったら「Process(処理)」で書き出し、保存します。
これでHDR写真いっちょ出来上がり!
...でも良いのですが、Lightroomを使ってさらに加工すると見違えるほど良くなります。Lightroomで加工する場合はTIFFで保存しておきます。
Photomatixを使ったHDR合成、実は詳しいマニュアルがあるからそれを見てくださいね。
Photomatix日本語版 ドキュメント&サポート | HDRsoft社
こちらのブログの解説も分かりやすいです。
Photomatixの使い方 | HDR Works
また当ブログ「URAMAYU」から、Photomatix Proの15%オフクーポンコードを提供していますよ。
3.Lightroomでさらに調整
実は最近使い始めた神ソフトLightroom!
現在6月末まで利用可能なLightroom 5 のパブリックベータ版を利用させてもらってます。製品版は恐らく10080円。
もちろんLightroom 5 製品版が出たら購入します!
Lightroom 5 パブリックベータ版のダウンロードは以下より。(2013年6月末にはパブリックベータ終了する予定ですが)
Adobe Photoshop Lightroom 5 | photo management software beta - Adobe Labs
Lightroom現像の実力をご覧ください。
こちらがLightroom現像前。
こちらがLightroom現像後。
もういっちょ。現像前。
現像後。
変わりすぎワロタ。
ハイライトとシャドウの調整だけで写真の明るい力と暗い力を極限まで引き出し限界まで調整し、明瞭度と彩度の調整だけで写真のメリハリが出てパキッとよりHDRらしい写真になります。しかも自然に。そして後から何度でも補正できる。
これがRAW画像で撮影する理由なんですね。
もう詐欺レベルに画質が違うよね。笑っちゃう。
ソフトがここまで進化しちゃうともうカメラの腕とか関係ないんじゃないかとか思うくらいです。
構図とか、歪みとか、露出とか、全部後から補正できちゃうんだもの。
基本、HDR写真はハイライトとシャドウ、明瞭度と彩度の調整だけで見違えます。
あとは写真によって歪み補正したり、ノイズを軽減したりすると恐ろしく見違えます。
Lightroom 5は他にも素晴らしい機能が備わっているのですが、レビューは然るべきタイミングで然るべき媒体でさせて頂く予定です。
以上がHDR写真の作り方です。
これでHDR写真の作成に興味を持ってくれる人が少しでもいると嬉しいな!